奴隷解放の日

午後のクラスは5月13日の奴隷解放の日についての話だった。女の子たちもいちおう何の日かは知っているけれど教科書的な知識だけのようで、ルシアがその歴史について熱く語ってくれた。奴隷解放と言ってもただ自由にしていいよと言われて土地もお金も何もないままで放り出され、そのツケは今の社会にもずっと残っている、何とかプリンセスが解放令を出しましたとだけ学校では教えているだろうけれど、そんなに単純な話じゃないんだよって。
その後人種の話になった。モレーナとかチョコレートとか言ってるけど、実際の人種はインヂオ(先住民)、ネグロ(黒人)、ブランコ(白人)の3つなのだと説明し、自分がどの人種だと思うかそれぞれ言うことになった。みんな迷いながら、あるいは他の人に指摘されつつ、「私はたぶんインヂオとネグロの混血」、「私はネグロとブランコの混血だと思う」などと答えていて、すごく興味深かった。ほぼ全員が混血で、まさに人種のるつぼなんだと改めて感じた。
またルシアはこんな話もしてくれた。ブラジルではすごく人種が混ざっているけれど、世の中の美の基準を作ったのは白人で、髪が真っ直ぐで白い肌が美しいという価値観を押し付けてきた。昔は黒人の縮れた毛はおかしいものとされ、布で巻かれていたという…。女の子たちは熱心に話を聞いていた。実際エマウスに通ってきている子の中に白人の子はほとんどおらず、こうした問題も自分たちのこととしてとらえているように感じられた。

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