連邦政府30ヶ月の軌跡 – 教育

前出の記事の続きです。教育分野をまとめてみました。初等教育に力を入れていたカルドーゾ前政権に代わって、ルーラ政権化での教育政策は大学改革に注がれたような気がします。でも大学、いまストライキだよね・・・。黒人や貧困層に対するアファーマティブ・アクションが謳われていますが、いまいちうまくいってないような。今後の成り行きに注目したいところです。
見出し
・2344人の大学教員を新規採用
・74000人の大学教員の給与が増加
・130万人の高校生に270万冊の教科書を至急
・340万人の青年・成人がこの30ヶ月間に識字教育を受講
・4720万人の生徒がFundeb発効4年間で恩恵を受ける
要旨
「公的性格を持った質の高い教育さえ整備されれば格差を縮小できる本当の国家プロジェクトが可能となる」として、近年ブラジルでは就学率増加だけではなく教育の質の向上のための政策を幼稚園から大学まで幅広く実行している。
基礎教育の充実をめざして
2006年から2019年まで施行予定のFundeb(基礎教育振興基金)により、これまで初等教育(小中学校)に限定されていた資金移転対象が幼稚園と高校、青年・成人教育、特別教育(特別支援教育)、先住民への教育にまで拡大される。これまでより1650万人多い4720万人の学生に対してプログラムを行なえると期待されている。Fundebの導入は、教員の質の向上(勤務状況や給与増)も視野に入れたものである。
大学改革
民主的な大学改革の議論は、大学の枠組みを超えて、200団体以上の研究所や市民社会を巻きこむものとなった。特に教育の民営化に対する反対運動は著しく、大学は公的、民主的、共和国的で進歩的でなければならないという議論が交わされた。そうした背景から、大学改革は公立大学の強化と普遍化に向けられ、多くの連邦大学が新設された。高等教育への予算は47%増加した。
ProUni(すべての人を大学へプロジェクト)は低所得層出身の学生の大学進学を助成するプロジェクト。奨学金(全額or一部)の形で私立大学に進学する学生に対して支給される。アファーマティブアクション(積極的差別是正措置)政策と調和した形で、ProUniは民族・人種割当制度に該当する約5万人の受験生に奨学金を支給している。奨学金は最高300レアル(約15000円)で、交通費・食事代・住居手当などをカバーできる計算。
識字教育
「識字するブラジル(Brasil Alfabetizado)」は読み書きを習得していない15歳以上の青年、成人対象としたプログラム。2003年と2003年で約340万人の人々に授業を提供。2005年には新規に220万人の受け入れを予定している。

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