エマウス便り

灼熱の太陽が燃え盛るベレンからお便りします。
毎日、毎日、暑い!!
暑さのせいで頭がボーとしているためか、6月の活動?何があったかな~?といった感じです。
5月半ばから6月にかけて、少女達が円陣に座り、性暴力について語り合う機会がたびたびもたれました。新聞記事やビデオを題材に、様々な性暴力の実態について語り合うことで少女達にしっかりとした現実認識を持ってもらうためです。売春目的の人身売買をドキュメンタリータッチで描いたビデオを私も一緒に見ましたが、それまで知らなかった背筋が凍るような出来事が実際にこの世界にあるということに驚きました。
モデルへの勧誘が実は組織的な人身売買の人集めだったり、少女達の夢につけこむ甘い誘惑の裏には往々にして悪質な落とし穴がある等々、こうした事を予め知っておくことは、年代的に性暴力の対象にされやすい年頃のアルチの少女達にはとても大切なことです。
ただ、親の心子知らずと日本でも言われるように、熱心に語りかけ、問いかけるLuciaやElisangelaと少女達の間には温度差があるように感じました。しかし繰り返し語りかけることで少女達の認識も少しずつ変わっていくでしょう。
Luciaは少女達がもう少し刺激的でない格好をしてくれるよう望んでいます。確かにお臍にピアスがキラキラしていたり、下着スレスレのショーツ姿やバストだけがようやく隠れるような小さな上着は男の人の下心をくすぐるに違いありません。私でさえその肢体に思わず目がいってしまうことがあります。いつの日か少女達がもう少し落ち着いた服装をするようになれば、こうしたLucia達の努力も報われます。
6月は、このため各教室での活動はだいぶキャンセルされました。私の受け持っているマクラメ教室でも時間数が少なかった為、第一作目のバッグ製作がなかなか進まず、Janete、Naiani、Larissa、Luisaの4人だけがもう少しで完成というところまで漕ぎつけました。
私が7月1日から一ヶ月休暇をとりエマウスをお休みする為、教室再開は8月になります。それを知った4人の少女達が、どうしても6月中にバッグを仕上げたいと言うので、6月27日の金曜日に追加教室を開き、やっと第一作目のバッグが4個仕上がりました。これらのバッグはそれぞれの少女が持ち帰りました。
その日カメラがなかったので、あいにく第一作目を写真に撮ることが出来ませんでした。8月にもし写真に撮れたらご紹介します。10cmx13cmくらいの小さなバッグで、使用されている糸もよりの甘い木綿の糸なので、日本で作られるマクラメ作品に比べるとかなり見劣りします。それでも少女達は早速肩から提げて嬉しそうでした。自分が作ったという喜びだと思います。少女達の笑顔は休暇に入る私への何よりのプレゼントになりました。
さて、ここで、今後ブラジルに来られるかた達のためにひとつの情報提供になると思うので、私が休暇を取る理由について書いてみます。また、それに関連して現在のベレンの治安状況と対策についても、私が知る範囲でお知らせしたいと思います。
実はベレン到着1週間目に路上強盗に遭い、ナイフでバッグを切り取られ持ち去られた経験があります。その日はカーニバルの休暇中でした。
カーニバルでは街中が賑わい通りに人が溢れているようなイメージを持っていましたが、ここベレンでは、カーニバルの最中は商店が全て休みになり街は閑散としてしまいます。人通りも少なくなります。他の人や私の被害経験から、全商店の閉まる(*)日曜日と祝祭日は日中でも出歩かないほうが安全です。人通りの多い方が悪い人に出会う確立が高いので危険ではないかと私は思っていましたが、実際は人通りの多い場所の方が人目がある分安全のようです。
(*)スーパーやShopping-mall だけは、日曜日も午後3時頃から開店します。
私の滞在先の家でも、大家さんご夫妻をはじめほとんどの人が路上強盗の被害に遭っています。だいたいがナイフかピストルを手にしています。大概の事例を聞くと、抵抗しなければ傷つけられることはまずないようです。
ブラジルに滞在する際には、万が一に備えて次のような用心を心掛けてください。
- 外出の際パスボート・貴重品は絶対に持ち歩かない。また家の鍵は絶対にバッグに入れない。
   だいたいはバッグを丸ごと持っていかれます。
   私は強盗被害で鍵を失って以降、安全ピンでズボンの裏側に留めて持ち歩いています。
   また、パスポートはCartorio(公証人役場のような所)でCopia de Passaporte autenticada
   (認証されたパスポートコピー)を作ってもらってください。
   換金の時などにパスポート提示を求められますが、このコピーで通用します。
- 現金はRS50位を用意して、それ以上は持ち歩かない。
   何もないと相手が腹を立てるかもしれないので、多少の現金(RS50位)を持っている必要
   があります。
   買物の為にまとまった現金を持ち歩く時には、財布ではなく、ポケットなどに分散して入れて、
   はたから見てお金を持っているように見えない工夫をしてください。
   携帯電話、デジタルカメラも狙われる可能性があります。
- そして、なによりも大事なことは、強盗に遭った時には無抵抗で全部渡すこと。
   これが鉄則です。
   また、自分からバッグを手渡そうとしたり、自分からポケットに手を入れて現金を渡すことを
   絶対にしてはいけない。 両手を挙げたまま動かずに相手のなすがままにしておくこと。
   身の安全の為にこれも鉄則です。
この7月はブラジルでは休暇シーズンです。街は静かになり、長期休暇をとる家族は旅行などでベレンから出ていくと聞きました。実際には、初めて迎える7月なのでベレンがどんな様子になるのか私には分からないのですが、人数の少ない静かなベレンで暮らす勇気がないので、一ヶ月ベレンから他所に移ることにしました。場所はベレンからバスで5時間ほどの場所にあるトメアスです。ここは日本人が大勢入植した地で、今でも日系人の家族が多く住んでいます。久々に日本語で話し合えるというのは、5ヶ月ポ語だけの生活にちょっと疲れ気味の私にとって何よりの休息になりそうです。
街がまた活気を取り戻す8月に、またベレンに戻ってきます。
しばらくブログはお休みとなりますが、8月末にまたご報告します。
   ユキ

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