エマウス便り

ベレンのエマウスから久し振りのご報告です。
7月は、休暇を利用してひと月トメアスに行ってきました。
8月前半は風邪を引いてしまい、エマウスをお休みしてしまいました。
8月後半、やっとエマウスに戻りました。
その日は子供達が、今年度前半の活動総括と今年度後半への希望をグループ毎にまとめて発表していました。
ブラジル人はPraia(海や川などの浜辺)が大好きです。夏休みにPraiaに行った子供達は一層ブロンズの輝きを増していました。
さて、休暇前に頑張ってマクラメのバッグを仕上げた4人の少女達は、次の課題作、Capa de Celular(携帯カーバー)に取り掛かりました。最初10人以上の少女達がマクラメに挑戦してくれましたが、エマウスに来たり来なかったりする少女や、物事に集中するのが得意でない少女達は、どうも製作途中放棄のようです。
でも、うまくしたもので、途中放棄されたバッグは、休暇明けにArte de Viverに参加した新しい少女達が引き継いで作っています。
もうすっかり慣れた少女と、全く初めての少女を同時に教えるのは難しいので、Luciaにお願いして、マクラメ教室を水曜日と木曜日に分けてもらいました。
こうすると一回に教える少女達は4人~5人で、丁寧に教えることが出来ます。
もっと早く、こういう形をとればよかったと思います。
休暇前には、10人位の少女達から次々に「ユキ、次はどうするの??」と声がかかり、まるで蝶々のように子供達の間を飛び回っていました。その為、各人が十分に分かるように手取り教えることが出来ませんでした。
少女達が作ったマクラメ・バッグ(上段)と携帯カバー(下段)、そして教室の様子を紹介します。


Grande Coleta
9月14日に前後して、各新聞にエマウスの Grande Coleta の記事が載りました。
1972年に、第一回のGrande Coletaが、Jurunas地区にあるエマウスで開催されました。
それから2004年まで毎年開催されましたが、Emaus・Jurunasの倉庫が雨漏りで使えなくなり、その後Grande Coleta の活動は休止していました。
Bengui地区にあるエマウスに大きな倉庫と収納場所が整ったので、今年4年ぶりの再開となりました。それだけに、エマウス全体も活気づきましたが、世間の関心も集まったようです。
Grande Coletaは、予め連絡を頂いた各家庭を回り、電化製品、パソコン、TV,大型家具、玩具等々、不用品を回収し、修理と手入れをして、商品として復活させて販売します。
大々的なリサイクル活動ですが、それだけに留まりません。今年のGrande Coletaに、各会社から大型トラック21台が無償提供され、1,000人のボランティアが自主参加。この他にも、刑務所の更生施設で受刑者達が縫製したGrande Coleta のロゴ入りTシャツ2,000枚が寄付され、皆このTシャツを着て参加しました。
エマウスと地域の連帯、そしていろいろな立場の人達の協力、Grande Coleta はこうしたものも満載しているのです。
Tシャツのロゴです。
14日の朝8時半に、私と友人のIsabelは、Arte de Viver のElisangela と一緒に、トラック集結場所のマンゲロン・サッカー競技場にバスで向かいました。バスがマンゲロン競技場に近づくにつれ、各地区に向けて出発するGrande Coleta のトラック数台と出会いました。トラックは風船や、ロゴ入り幕で飾られて、荷台では10人位の若者達が賑やかに手を振っていました。その様子が楽しそうで、私はバスを降りる前からワクワクしました。
私達が到着した時、マンゲロン競技場の広い駐車場には5台ほどのトラックが残っていました。
各担当者が打合せと確認を済ませたトラックから順に出発していきます。競技場出口へと向かうトラックの荷台で若者達が歓声を上げながら飛び跳ねていました。
トラックは、ベレンの8地区に分かれて走ります。8地区とは、Marambaia, Batista Campos, Nazare, Sao Bras, Umarizal, Marcos, Telegrafo, Pedreira です。
最後のトラックを見送り、私達はスタッフの車に分乗してガランとしたマンゲロン駐車場を後にして、エマウス・Bengui に向かいました。エマウス・Bengui には、すでに大勢の人達が集まっていました。入口でIsabelと私はロゴ入りTシャツを受け取り、事務所のトイレで着替えました。Isabelは大柄なCarioca(リオデジャネイロの人)です。IsabelにぴったりのTシャツは、私にはブカブカ。その分風通しがいいかもしれません。皆と同じTシャツを着ると、何故かお祭り気分になってきます。大きなIsabelと小さな私は並んで歩きながら、大倉庫へと向かいました。大倉庫にもかなりの人が居ましたが、広々と天井の高い建物の中には物が何も無いので、ガラ~ンとした感じでした。
外はガンガンの暑さ。倉庫の中で待機です。Isabelは、ブラジル人同士、いろいろな人達と話しています。そのような時間潰しが出来ない私は、ひたすらトラックが戻ってくるのを待ちました。時々、Luciaが元気づけに来てくれました。
外では、大きなスピーカーから音楽が流れ、トラックからの連絡を受けて収集の様子などを実況中継している様子です。
そうこうしている内に、外で爆竹が鳴り響き、第一便が荷物を満載して戻ってきました。
皆、歓声を上げ、拍手して出迎えました。皆の拍手の中、トラックが大倉庫に入ってきます。
大倉庫の中は、電気製品、パソコン、家具、ソファー、玩具等々、種類別に置き場が決められ、又、トラックから荷卸された品物を運ぶ人達も予め班分けされていました。勝手の分からない私が品物を手にウロウロしていると、直ぐに担当の人が助けてくれました。次々に入ってくるトラックから、手際よく荷卸されていきました。長い間納屋などで眠っていた不用品も多いようで、倉庫の中は大分埃が立ちこめていましたが、そんな中で重い物や汚れた物も厭わずにせっせと運ぶ人達の働きぶりが印象的でした。
仕事中でも話好きで、あまり仕事熱心には見えないことが多いブラジル人ですが、時にそうした思い込みを打ち砕くような働きぶりを見ることがあります。このGrande Coletaもそうでした。
玩具の中のお人形は、Arte de ViverのSala de Bonecaで使われます。その為、Arte de Viver から2人の少女も玩具部門で働いていました。
間に昼食をはさみ、午後2時頃から第2回目の回収に向かいます。
エマウス・JurunasのMarisaが、彼女のご主人が担当しているトラックに、Isabelと私が乗れるよう手配してくれました。Isabelは荷台に乗りました。荷台の方が若い人達と一緒で楽しそうです。でも体力に自信のない私は助手席に乗せてもらいました。お陰さまで、バスや乗用車とは異なったアングルからベレンの街を眺めることが出来ました。
荷台からは歌声と荷台を手で叩いてリズムを取っている音などが聴こえてきます。
トラックは、Benguiから街の中心部へと向かいました。街に入ってから2軒立ち寄りました。すでに、午前中に大きな物は出てしまったのか、本類と小さな物とパソコンとテレビだけでした。一応、回収の様子も見せてもらったので、2軒目が終わったところで、Isabelと私はトラックの皆さんとお別れして帰路につきました。
最終のトラックは品物を満載して夕方7時頃にエマウス・Benguiに到着したそうです。
この日の暑さに疲れてしまった為、私達は早めの切り上げとなりましたが、おもしろい一日でした。
ところで、ロゴ入りTシャツを着たままバス停に向かう私達に、家の前にいた年配の女性が「ゴミを持っていってくれるのか?」と聞きました。Isabelが「Grande Coletaはゴミは収集しない」と答えました。
後日、この事をLuciaに話したところ、「そうした不心得者がいるのょ。私達は市のゴミ回収とは違うのにね!」と笑っていました。
今回が私のベレン滞在最後のご報告となります。
9月30日にベレンを発ち、3日ほどトメアスを訪れて7月中お世話になった家族のかた達とお別れして、クリチーバに立ち寄り、10月13日の便で日本に帰ります。
正直なところ、ベレンの暑さには参りました。それでもベレン、エマウス、トメアスで出合った人々と過ごした日々を振り返ると、今回ブラジルに来てほんとうに良かったと思います。一定期間滞在し、生活し、そしてエマウスの少女達やスタッフ達と一緒に活動出来たことで、旅行とは異なった深い体験が出来ました。
青春の一時期をエマウス・Arte de Viverで、Lucia達EducadorasやAssistencia Socialの人達、そして友人達といろいろな時間を過ごし、やがて社会に出て行く少女達、その一人ひとりが今の輝きを失わずに、めげずに、それぞれの人生を逞しく築いていって欲しいと心から願っています。
     2008年9月   ベレンにて ユキ

Comments are closed.