エマウスでの児童労働に関する活動から 2014

『6月12日 児童労働反対世界デー(World Day against Child Labour) 』に因んで、
EMAÚSでの活動報告も兼ねての投稿です。

このカードは、「児童労働へ レッドカード」です。

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EMAÚSの子どもたち、青少年、保護者、職員のみんなが持っています。

公共の学校でも、このレッドカードの意図をしっかりと説明し配られていました。

2014年児童労働反対世界デー(6月12日)は、FIFAワールドカップ開催日でした。これに合わせて、2016年のリオ・オリンピックまでを期間として、2002年から始められた「児童労働へレッドカード」キャンペーン に再び力を入れることになったということもあり、EMAÚSへ関係機関(Trabalho Justiça e Cidadania)のスタッフが訪れたり、Trabalho Justiça e Cidadaniaが開催する活動に、EMAÚSから訪れたりしていました。

労働するにあたり、自分たちにどのような権利(労働基準、就業最低年齢や、労働手帳取得義務なども含めて)があるのかなど、子どもたちにも関心がもてるように、アニメの小冊子や映像を通して説明したり、これから仕事に就こうとしている青少年たちが、疑問に感じたことに対して丁寧に説明したりしていました。小学生の子どもたちには、少し難しいかなと思ったりもしましたが、みんなで「児童労働へ レッドカード」を掲げながら、「Cartão vermelho ao trabalho infantil」と、繰り返し声に出して言ったりもしていたので、子どもたちながらに、自分たちに権利があるということを認識できたのではないかと感じていました。

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今回のベレン再訪では、以前よりも路上で働く子どもたちの姿を見かけることが少なくなったように感じていました。個人的に、バスに乗車し移動することがとても多いのですが、バスの中で、物を売る子どもたちの姿は、一度も見かけませんでした。よく訪れていたベローぺーゾ市場でも。EMAÚS内でも、子どもたちが活動の中で作っていた作品の販売は、近年ありません。私が訪れた、他の団体でも同じでした。

政府、国際機関、企業、NGOや市民の取り組みによって、世界的にも児童労働者数は減少してきているとのことで、ブラジルでも、子どもが学校に通うことを条件に貧困家庭の保護者に金銭を支給する取り組みを行った社会的背景や、デモなども含めて認識も高まっていることなどを含め、児童労働者数の減少に関係しているようです。

とはいえ、ベレンで、私の日常生活において、児童労働にあたる子どもに全く遭遇しなかったのかというと、そうではありません。

とても交通量の多い大きな交差点で、必ず車の窓清掃をする子どもがいました。慣れた様子で仕事を淡々とこなしていますが、炎天下で事故にいつ巻き込まれるかわからない状況下での仕事です。子どもに、窓掃除をOKする運転手もまだまだいます。目立つところでの児童労働ですが、すぐに保護される訳ではなさそうでした。

また、EMAÚSのあるベングイ地区内のお店や屋台が並ぶところでは、最近EMAÚSに来ていない男の子(中学生)が、DVDを販売しているところに遭遇したりもしました。

一緒にいたスタッフは、男の子に近況を聞きますが、児童労働がいけないということを男の子自身に言ったり、保護したり、通報したりということは、その場ではしません。それは、男の子が、そこで働かなくてはいけない背景があるからです。「EMAÚSにまた遊びにおいで」と誘い、“EMAÚSには、いつでもあなたの居場所があるのよ”ということを話します。事務所に戻り、資料を探し、チェックをし、職員間で情報共有をし、時間をかけながら対応します。

EMAÚSでは、子どもや青少年が、EMAÚSでの何らかの活動に参加するとき、保護者同伴での面談が必ずあり、必要提出書類と共に、家庭環境・生活環境の状況確認をします。保護者用、青少年用、子どもたち用に合わせた質問内容もあり、その確認事項の一つに、労働についての質問項目もあります。他にも、プライベートな質問も結構ありますが、わりと事実を話さる方が多かったです。そんなことまでオープンに話せるんだというのが、個人的な印象でしたが、EMAÚSの職員を信頼して、これからに希望をもって参加活動しようとしている人たちが、こんなにもいるんだなとも同時に感じました。

ILO(国際労働機関)の報告書の中には、家事労働に従事する人々は、最も搾取され易く、最も虐待を受け易い環境の中に置かれていること、また、家事労働に従事させられている子どもたちの多くは、雇用主と同じ屋根の下で暮らしているため、性的搾取や人身売買の危険に非常に晒され易いともありました。

今年9月に、国連総会で採択が予定されている開発目標「持続可能な開発」の草案には、「2025年までに世界の児童労働を終わらせる」ことが、目標の達成度を測る指標として明記されています。

日本では、コーヒー、チョコレート、紅茶、コットン(綿)など、原料の調達から商品が消費者の手元に届くまでの工程で児童労働に加担しないビジネスづくりや、フェアトレードなど「エシカル消費」の普及もありますが、人身取引やポルノなど、直接日本で犠牲となる子どもたちも存在します。現在、日本でも、「ストップ!児童労働キャンペーン」が行われているのをご存知ですか?

どこの国の子どもたちの存在も尊重されますように。




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