「エマウスの活動に参加して」(5)

<居場所>
アルチのある日の朝、ルシアは他の用事があっていつもより遅れて来た。
ルシアが来るまで、ボネッカではエリザージラと私、クストゥーラはいつも通りドナ・ニューザが
子どもたちと一緒に活動をしていた。

ルシアがいるときは、ルシアの気を引こうとしてボネッカの部屋に来たり、
うろうろと歩き回ったりするクストゥーラの元気な女の子がいる。
この時ばかりは静かで一度もボネッカの部屋に来なかった。
ルシアがいつもいるボネッカの部屋では、ボネッカの女の子たちが、「ルシアまだ?」と
ルシアが来たかどうか何度も門の方へ見に行ったり、何度も私たちに聞いたりしていた。
そして、彼女たちの話題はずっと「ルシア!」だった。

ルシアがやって来ると、女の子たちは「ルシアが来た〜!!!ルシア!ルシア!」と大歓迎!!だった。
ルシアが来たことで、ボネッカの女の子たちはいつもの雰囲気に戻り、
クストゥーラだけどいつもボネッカの部屋にやってくる女の子たちは、
ルシアに気にかけてもらいたくて、いつもより嬉しそうに「ルシア!」と大きい声で呼んで(というより叫んで?)みたり、ウロウロしてみたりしていた。
そして、ルシアに「あなたたちは、クストゥーラでしょ!戻りなさい!」「できたの?」と言葉をかけてもらっていた。。。

このクストゥーラの女の子たちは、時々ルシアに反抗したり、心配するようなことをしたりしていたが、ルシアのメリハリのある温かさと、厳しさの中でいろんなことを感じ考えている真っ只中のように私は見ていて感じた。

女の子たちにとってのルシアの存在の大きさを感じたと同時に、
ルシアが大好きで、ルシアがいるEMAUSが居場所となっている子は今までにもたくさんいたのだろうと思った。
アルチの女の子たちが作った人形
また、サラ・ジ・ダンサでは、話し合いの時は、輪の中に入って話をするけれど、
ダンスとなると参加せずいつも見学をするという女の子がいた。
ジョエルマ、女の子たちや私が、毎回のように誘っても、彼女は首を振って「見とく!」と言い、
いつも見学をしていた。
彼女は楽しそうに見ているし、見ていて気付いたことをみんなに言ったりもしていた。
今の彼女のサラ・ジ・ダンサへの参加の仕方である。
毎回彼女に「一緒にしよう!」と誘いはするが、ジョエルマは強制もしないし、
一緒にしないことを他の女の子たちも問い詰めたりはしない。
彼女にはちゃんとサラ・ジ・ダンサに居場所があって、ここが好きだから来ている。
 
サラ・ジ・ダンサの女の子たち
EMAUSに行ったらスタッフがいる・みんながいる・したいことができる・
遊ぶことができる・ちょっとわがままが言える・何か楽しい・何か教えてもらえる・
好きな場所がある・何か食べられるなど、子どもたちはEMAUSの中にどこかしら
それぞれ自分の居場所があるからEMAUSに来ているのだと思う。

子どもたちのためにいつもおいしい食事を
つくってくれている
フェジョアーダを食べているところ
EMAUSに来ている子どもたちは、最近来た子どもでまだ緊張している子もいたけれど、
すっかり慣れている子どもたちは、リラックスしているように感じた。
だからこそ、ちょっとわがままを言ったり、スタッフを困らせたりすることもあったので、
スタッフの悩みの種は増えてしまうのだが、こういう中でも子どもたちとスタッフとの信頼関係は
どんどん築かれていっているようにみえる。

当然のことだが、出会った目の前の子どもに対して、スタッフは真剣に子どもたちのことを考え、関わり、心配もしている。
一人ひとり家庭環境も個性も違い、スタッフとの関わり方もそれぞれ違う。
でも自分のことをみてくれる人がここにいるということは、みんな同じ。
たまにふらぁ〜と来ても、スタッフは、あたたかく受け入れて話を聞いてくれるし、注意もしてくれる。
その日気になる様子の子、特に話し合ったほうがいいと思われる子など個人的にゆっくりしっかり時間を作って話をするということもよくあった。
また、保護者や就職した子どもたち、EMAUSの活動を知って相談にくる親子などいろいろな人が
訪れては話をしていた。

子どもたちが信頼しているスタッフが、できる限りEMAUSで子どもたちを支えられるように、
スタッフにとって働きやすい環境であればいいなと願わずにはいられない。
子どもたちが信頼しているスタッフが退職せざるおえない状況になって、
EMAUSを去ってしまうというのは、子どもたちにとってとても大きな影響を与えると思う。
唯一ここで信頼できた人に出会った子どもにとっては、尚更。

 
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