笑顔の裏に

1人の子が朝アルチに来るなり、中に座ろうとせず外にイスを持ち出し、静かにポロポロと涙を流し始めた。家庭のことで問題があったらしく、ルシアがずっと話を聞いていた。話を聞いてもらって少し落ち着いたみたいだったけれど、今日は活動に参加せず、家に帰っていった。笑顔のかわいらしいおとなしい子で、でもいつも何となく寂しそうな表情をしている子だった。とても小柄なので大きい悩みに押しつぶされそうになっているように見えた。
昼食後、たまたまナザレと2人になったとき、ある女の子の話を聞いた。その子がおばさんと暮らしていることは知ってたが、お母さんは入院中か何かだと思っていた。実際は数年前にお母さんは亡くなっていて、しかも夫(女の子の父親)に殺されたという。さらにその父親が子どもたちを虐待していたというのだ(父親は服役中)。ナザレはその子が大きな喪失感を抱えていることをとても心配していた。あまりのことに言葉がなかったが、アルチの子たちの大部分は虐待の犠牲者になっているとルシアが言っていたことを思い出した。頭では何となくわかっていたけど、やっぱりまだまだ表面的な部分しか見てなかったんだと思った。明るい笑顔の裏にみんな辛さを抱えている。

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