エマウス便り

エマウス共和国運動に参加させていただこうと、今年の2月にベレンにやって来ました。当地では皆さんにユキと呼んでもらっています。
海外ボランティアは初めての体験。Arte de Viverでこれからどのような日々が待っているのか、期待と不安でいっぱいです。
子供達がArte de Viverに戻ってくるのは2月22日。Emausの方達(スタッフや教育担当者等)は、子供を迎える準備に忙しい毎日を送っていますが、私は20日まで滞在先(家)で待機中です。
今はそのような状態ですが、2月13日にもうひとつの活動拠点のEmaus・BenguiにLuciaと一緒に伺いました。朝8時半に、Luciaが家まで迎えに来てくれました。街の中心部(セントロ)にある私の家からは、バスに揺られて1時間。Benguiは貧しい人達が多く住む場所で、バスを降り立った時は緊張しました。
でもEmausの入口はバス停の近く。Luciaの顔を見ると入口のガードの人がすぐに扉を開けてくれました。中は広々として気持ちの良い場所です。ここでも、子供達はまだ通ってきていません。
Luciaにつれられて、CoordenadoraのMariaの部屋へ。そして面談。つたないポルトガル語の私にも分かりやすいように図など取り入れながら、Emausの全体像について説明してくれました。
次にLuciaが連れて行ってくれたのはコンピュータ教室。19台のパソコンが整然と並んでいます。
Emaus・Benguiは全体の印象が素朴というか牧歌的なので、その教室に入った時はちょっと驚きました。今日もパソコン教室だけは開いていて、すでに少年達が授業開始を待って教室の前に集まっていました。月謝はタダです。人気のクラスのようです。
事務局ではスタッフがパソコンの前で忙しく働いていました。Franciscaという少女が私の腕をとり案内してくれました。親しみいっぱいの笑顔と目のクリクリとした少女です。この少女もかってはエマウスの小さな子供だったと、Luciaから聞きました。
今、Emaus・Benguiでは新校舎を建設中です。その日は工事が休みなので中を案内できると言って、Luciaが草の原を渡って行きました。そこは刈り込めば芝生の広場になるそうです。が、人手不足で草の丈が大分伸びてます。現場近くまで来た時、Luciaの後を追っていた私は飛び上がりました。足に熱湯を注射されたような痛さでした。ほんの2~3秒位で痛みは消えましたが、驚きました。蟻に食われたのですね。初めての経験です。
建物は完成時の姿が想像できる程に出来あがっています。大きな建物です。真ん中がホールで周囲に教室が並び、会議・集会などに使う広い部屋も2つありました。パソコン教室もここに移り、今教室がある棟は低学年の子供達用に使われるそうです。
今教室のある棟の前には、木造の古びた家が2つ並んでいて、入口の扉に絵が書かれているので何か楽しいことに使われているのかな?と思いLuciaに尋ねました。その2つの家が一番最初の教室だったそうです。今は倉庫に使われているとのこと。
3つの建物を見て、Emausの活動の歴史を、この日、一日で垣間見たような気分になりました。
さて、その草っぱらですが、大分広いのでそこを子供達が野菜作り・花造りを習う場にしたら多少はEmausの食料自給にもなるし、子供達の自立にも繋がるのでは、とLuciaに尋ねました。昔そこで野菜を作っていたこともあるそうですが、結局やる人がいなくなり途絶えたそうです。子供達の関心はもっぱらパソコンで、土仕事には全く関心がないそうです。いつの世も同じですね。若い人にはそうした地道な仕事は魅力がないのでしょう。
薬草園では2人が働いていました。一人はドクターの資格を持った方です。(この日沢山の方とお会いしたので、名前を覚えきれませんでした)
薬草園には畝が整然と並んでいますが、残念なことに、ここでも人手不足で6割位の畝は休耕状態です。かっては全体にハーブ等が植えられていたそうで、きっと良い香りが満々ていたことでしょう。
アロエが沢山ありました。アロエからは石鹸やシャンプーを作るそうです。
最後に、リサイクル活動の場所に行きました。大きな倉庫があり、中には家具、扇風機、パソコン、車、自転車などがあります。今ある在庫品がはけたらこの倉庫も建て直すので、リサイクル品の回収はストップしているそうで、Grande Coletaは無し。残念です。
倉庫にある品は大分使い古されたり壊れていたり。新品に溢れかえっている日本の品々に慣れている私の目には、エッ!使い物になるの??といった感じです。が、再生品がストックされている場所に行って、ビックリ!倉庫では汚れた羽とかバラバラの部品だった扇風機が新品同様の姿で並んでいました。私の部屋に一台欲しいです。
パソコンを修理し再生する仕事は、かってEmausの小さな子供だった青年達がしています。Emaus・Benguiのあちこちで、Emausの仕事に携わるそうした少年・少女に出会いました。彼らが何よりもEmausの活動の証ですね。
胸が熱くなるものがあります。
人手不足。今Emausが抱えている問題のひとつ。Emaus・Benguiでも伸び放題の草や薬草園の姿が、それを語っています。Arte de Viverでも、人手不足から今いるスタッフの方達の負担は増えているのでしょう。Luciaは毎日遅くまで仕事しているようです。
Arte de Viverで始まる日々を通して、もっといろいろな事が見えてくることと思います。
その中で自分が出来ることは何か、大きな問題の前で本当に小さな事しか出来ない自分に淋しい想いをするかもしれませんが、まずは22日から子供達と会えるのを楽しみに心の準備をします。
2時頃Emaus・Benguiとお別れして、バスに乗りセントロへ。
腹ペコの私達はIguateme(ショッピング・モール)でスパゲッティを食べました。
次からは、Arete de Viverの活動報告です。 

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